ロングフライト血栓症の予防は?

かつてのエコノミークラス症候群

Q.60歳、男性。連休中に夫婦でヨーロッパ旅行を予定しています。現在、糖尿病の治療中ですが、糖尿病の人はロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)になりやすいと聞いたことがあります。実際にどのような症状が出るのでしょうか。飛行機内での予防法を教えてください。(千葉県 T)

A.ロングフライト血栓症とは、同じ姿勢で長時間座っていることで、脚の静脈に血のかたまり(血栓)ができ、それが血流に乗って肺まで運ばれ、肺動脈を詰まらせる病気です。

かつては、飛行機のエコノミークラスでおこりやすいとされたことから、エコノミークラス症候群と呼ばれていましたが、座席の種類に関係なくビジネスクラスでもおこるため、最近ではロングフライト血栓症という名称が一般的になっています。

血液は心臓のポンプ作用で、動脈を通ってからだのすみずみまで送られ、静脈を迫って心臓に戻ります。脚の血液を心臓に送り返すポンプの役割をしているのが脚の筋肉運動です。歩行や脚の運動でふくらはぎの筋肉が伸びたり縮んだりすることで血流を促し、血液が心臓に戻るのを助けています。

しかし、じっとしていると脚の血液ははとんど動かず、固まりやすくなってしまうのです。そのため、狭い座席などに同じ姿勢のままずっと座りつづけていると、ふくらはぎの深層静脈(ヒラメ筋にある静脈)の血液が流れにくくなり、血液が固まって血栓ができやすくなります。

ふくらはぎの深層静脈にできた血栓が、徐々に大きくなり(深部静脈血栓症)、静脈内で血栓が長く伸びることで、太ももや骨盤内の深部静脈まで塞いでしまいます。大きくなった血栓が、立ち上がった際などにはがれ落ちて、静脈内をさかのぼり、心臓を経て肺の動脈を詰まらせることで、肺塞栓症がおこるのです。

軽症の場合、症状がなく気がつかないことも

血栓ができても、小さいうちは無症状か、ごく軽症で気がつかないこともあります。血栓が大きくなると、ふくらはぎや太ももが腫れ、強い痛みが出ます。そして血栓が肺の動脈を詰まらせると、息切れや呼吸困難、失神などをおこし、最悪の場合には、死に至ることもあります。

とくに、糖尿病を発症している人は注意が必要です。そのほか、中高年者、肥満の人、喫煙者、妊娠中または出産直後の人、ピルを服用している人、がんの治療後の人、手術を受けたばかりの人、大きなけがや骨折などをしたあとの人、下肢に静脈痛がある人、過去に血栓症をおこしたことがある人、1週間以内にスポーツなどで脚を強く蹴られた人なども、リスクが高いとされています。

日本旅行医学会では、ロングフライト血栓症にならないために、7つの予防策として、①2~3時間ごとに歩く、
②座席に座ったままで、かかとやつま先の上下運動と腹式呼吸を1時間ごとに3~5分行う、③水分をとる、④ゆったりした服を着用する、⑤血行を悪くするので、足は組まない、⑥不自然な姿勢で寝てしまうため、睡眠薬は使用しない、⑦女性や高齢者は通路側に座る、を提唱しています。

回答:千駄ヶ谷インターナショナルクリニック(東京都)院長 日本旅行医学会専務理事 篠塚規(しのずかただし)先生

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