腺腫様甲状腺腫と診断。大きくならないようにするには?

基本的には治療は不要

Q.47歳、女性。のどが腫れていたので検査を受けたところ、腺腫様甲状腺腫と診断されました。良性とのことでしたが、治療の必要はないのでしょうか。また大きくならないようにする方法はありますか? がんにならないかも心配です。(東京都 N)

A.腺腫様甲状腺腫は甲状腺の良性結節(しこり)でもっとも多く認められる病変です。真の腫瘍ではなく過形成という、組織の形成過剰によっておこります。のう胞変性といって液体がたまったり、硬い部分が多くを占めていたり、石灰化を伴うなどの多彩な形状を示すことも特徴です。

多くは結節が多発し、これを腺腫様甲状腺腫と呼び、一つだけのものを腺腫様結節と呼んで区別をしていますが、性質は同じものです。

大きさが美容的に気になる、あるいは圧迫感を感じるなどの不都合な症状がなければ基本的には治療は不要です。しかしこのような悩みがあり、改善するために結節の縮小や消失を望む場合には治療を考慮します。

圧迫感などがあればホルモン療法やエタノール注入療法などの治療も

治療にはTSH(甲状腺刺激ホルモン)抑制療法、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、手術があります。

TSH抑制療法は甲状腺ホルモン薬を服用する治療です。甲状腺ホルモンの合成や分泌は脳(下垂体)から出るTSHによってコントロールされていますが、このTSHには腫瘤の細増殖を促してこれを大きくしてしまう作用があります。

このため甲状腺ホルモン薬を服用してホルモン濃度を高め、TSHの分泌を抑えると結節を大きくする作用が軽減できます。これがTSH抑制療法です。すべての人に結節の縮小効果が現れるわけではありませんが、結節が大きくなることを防ぐ効果も期待できますので試みる価値はあると思われます。

経皮的エタノール注入療法は、エタノールを注入することで、結節を小さくする治療です。結節の中が液状になったのう胞の割合が多い腺腫様甲状腺腫に有効です。しかし、TSH抑制療法と同様に経皮的エタノール注入療法の効果にも個人差があります。満足できる効果が得られない場合には治療法の見直しが必要となります。

確実な効果を得られる治療法は手術

もっとも確実な効果を得られる治療法は手術です。手術は美容的な面や圧迫感などの症状を改善するためのほかに、結節が縦隔(胸の中心部)に入り込んでいる場合(縦隔内伸展)、結節が自律的に甲状腺ホルモンを分泌する性質を備えている場合(機能性結節)、がんの合併が疑われる場合などに考慮されます。

基本的に良性結節ががん化することはありません。しかし超音波検査で腺腫様甲状腺腫と思われても、実態は形の上で判別が困難な濾胞腺腫(良性腫瘍の一種)や濾胞がんといった真の腫瘍性疾患であったり、多くの結節に混じってがんの合併がはっきりしてくることがあるため、細胞診による確認と定期的な経過観察が必要となります。

回答:伊藤病院(東京都)外科部長 長濱元二先生

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