睡眠中の「整理力」を利用しましょう

加齢とともに短くなる睡眠時間

最近の調査では、7時間前後の睡眠時間の人が、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や死亡に至るリスクがもっとも低いことが明らかになっています。

日本の成人の平均睡眠時間は6~8時間ですが、必要な睡眠時間は人それぞれで、年齢や日中の活動量によっても異なります。一般に、加齢とともに睡眠時間は短くなり、朝型化することが知られていますが、加齢による自然な変化ですから、心配する必要はありません。

大切なのは、長く眠ることよりも、年齢に応じた貿のよい睡眠を確保することにあります。睡眠時間が短くても、爽やかに目覚めることができて、日中も不調を感じることなく活動できれば、十分な睡眠がとれているといえます。

私たちは、ひと晩の間に、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」を90~120分のサイクルで交互にくり返しています。レム睡眠のときは、全身の筋肉は弛緩していますが、脳は活発に働いている状態で、この間に記憶の整理や定着が行われています。夢を見るのもこのときです。

一方、ノンレム睡眠は脳が休息している状態で、筋肉はある程度働いているため、寝返りを打ったりします。この2種類の睡眠によって、疲れた脳とからだが回復するとともに、朝に向かって覚醒しやすいリズムがつくられていきます。

快眠に必要なホルモン「メラトニン」と「セロトニン」

睡眠中には、何種類ものホルモンが体内で分泌されています。その一つ、睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」は、自然な眠りを誘い、活動と休息のリズムをつくっています。メラトニンの分泌量は、脳内物質「セロトニン」と関係しています。

セロトニンは、朝、脳を覚醒させ、交感神経を刺激し、日中の活動状態を保っています。夕方になると働きは弱くなり、夜には副交感神経が優位となって、眠りにつく準備が始まります。このときに分泌を始めるのがメラトニンです。

セロトニンは、メラトニンの材料でもあり、日中のセロトニンが足りないと、メラトニンが分泌されず、眠りにつきにくくなります。最近、寝つきが悪い人は、セロトニンが十分ではないかもしれません。セロトニンをふやすためには、次の3つの要素が必要です。

①朝日を浴びる

セロトニンは朝の光を浴びることで分泌が促されるので、朝、たっぷりと朝日を浴びましょう。

②食事で摂取する

セロトニンの原料は、「トリプトファン」というアミノ酸の一種です。大豆、乳製品、バナナ、肉類などさまざまな食品に含まれていますので、積極的にとるようにしましょう。

③リズム運動をする

ウオーキングや軽いジョギングなど、リズム感のある運動が有効です。時間がとれない場合は、首周りのストレッチをするだけでも、セロトニン増加に効果的です。

また、寝つきをよくするには、床につく1~2時間前に、38~40度のぬるめのお風呂にゆっくりつかって、体温を上げましょう。からだが温まって末梢血管が広がると、手足からの熱放散がスムーズに行われ、深部体温が下がることで、眠りにつきやすくなります。

睡眠は、からだを休める以上に思考を整理する貴重な時間

「寝る前に大まかに考えていた問題の答えを、翌朝起きたときに思いついていた」、このような経験はありませんか?

これは睡眠中も脳が活動をつづけている証拠です。記憶の定着、思考の整理は起きている間よりも寝ている間のほうが進みやすくなります。

起きているときとの最大の違いは、新しい情報が入ってこないことです。起きているとき、脳は目や耳から常に入ってくる情報に対応して、状況を判断し、行動に結びつけようとします。どんなに頭の中で考える作業に集中しようとしても、思考が外部からの影響を受け、変容していくのを止めることはできません。

寝ているときには、それがほぼ遮断されています。しかし脳は活動しています。入力がない状態で、一時的に保存していた記憶をより長期的な記憶に変換したり、得た情報を取捨選択し、思考を整理しているわけです。脳が自動的に情報をふるいにかけているようなイメージです。

避けたいのは、「忙しいから寝る時間を削る」という発想です。睡眠時間を削ることは、記憶を定着させる時間、思考が整理される時間を削ることにつながります。頑張って寝ないで仕事をつづけるのは、脳に情報を詰め込めるだけ詰め込むことに似ています。

1枚のディスクに容量がフルになるまで詰め込めば、今度は何も入らなくなり、新しい情報もこぼれ落ちて忘れられていくことになります。

疲労も回復しにくくなり、昼間、脳がよく働きません。その蓄積が物忘れや思考の混乱となって現れてくるのです。睡眠は、からだを休めるための時間だけでなく、脳の整理も行われる貴重な時間と考えてください。最低でも6時間、できれば7時間は寝るように心がけましょう。

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