ビタミンDで、さまざまな疾病を予防・緩和する可能性が

インフルエンザの発症が約2分の1に抑えられる

東京慈恵会医科大学准教授・医学博士の浦島充佳先生の研究テーマの一つは、「ビタミンDがどんな病気の発生や悪化を予防できるか」を検証することです。

ビタミンDが不足すると高齢者では骨租しょう症(カルシウムの不足によって骨がもろくなる病気)、乳幼児ではくる病(骨が変形する病気)を招くことは広く知られてきました。現在、日本の厚生労働省が推奨している摂取量は、大人なら1日200IU(5μg)で、これらの疾患にならない程度の量が目安とされています。

しかし、近年科学的な検証により、ビタミンDがインフルエンザ、ぜんそく、アトピー性疾患、糖尿病、パーキンソン病、大腸ガンなど、さまざまな疾病を予防・緩和する可能性が示唆され、従来の推奨摂取量より多くの量を取ることが望ましいことがわかってきました。

ビタミンDがこれらの疾病に有効であることを示す研究を、大学が実施したものを中心にいくつかご紹介しましょう。

①インフルエンザの抑制

12月~3月の4カ月間、インフルエンザの予防接種を受けた小学1年生~中学3年生の子ども334人をランダムに二つのグループに分け、一方にはビタミンDのサプリメント、もう一方にはプラセボ(ある成分の効果を確認するための比較対象となる偽薬)を内服してもらいました。

その結果、プラセボグループでインフルエンザにかかったのは167人中31人、ビタミンDグループでは167人中18人でした。ビタミンDの摂取によりインフルエンザの発症が約2分の1に抑えられる、という結果が出たのです。

ぜんそぐを予防する効果もある

ビタミンDがこれらの疾病に有効であることを示す研究を実施したものを中心にいくつかご紹介しましょう。

②ぜんそく・アレルギーの抑制

①でご紹介したインフルエンザの臨床試験参加者には、ぜんそくが持病のお子さんも含まれていました。そこで、臨床試験中のぜんそく発作の発症率も調査したところ、プラセボグループで発作を起こしたのは167人中12人だったのに対し、ビタミンDグループでは2人しかいませんでした。

ビタミンDの摂取で、発症率が6分の1にまで減少しています。この結果から、ビタミンDにはぜんそぐを予防する効果もあることが推測されます。現在、ぜんそくのお子さんを対象に臨床試験を行い検証を急いでいます。

③パーキンソン病の悪化防止

パーキンソン病は、神経伝達物質の一つであるドーパミンが減少し、手足のふるえ、こわばりなどの運動障害が現れる病気です。高齢者に多く、時間の経過とともに症状が悪化するのが特徴で、有効な治療法はまだ見つかっていません。

しかし、そんな難病の進行をビタミンDが防ぐ効果を持つ可能性が示唆されています。

パーキンソン病患者を二つのグループに分け、55人にはビタミンDのサプリメントを、57人にはプラセボを1年間服用してもらいました。その結果、症状の悪化が見られなかったのは、プラセボグループでは57人中7人でした。一方、ビタミンDグループでは、50人中16人がパーキンソン病が進行することなく1年を過ごせました。

また、ここま、で特定の病気に対する効果をご紹介しましたが、アメリカの医学雑誌に掲載された過去の論文すべてを解析した研究によると、ビタミンDを摂取したグループでは、死亡率が明らかに低下することが証明されています。

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